あなたの隣の趣味女

マイミクの日記を読んだり友達と話したりしてると
「10連休」だとか「11連休」という
私にとってはピンクの象やらタイムマシンと同等に
現実感のない言葉を聞く今日この頃ですが
そ れ 以 外 の 皆さん、いかがお過ごしですか。
今日は真夏の熱帯夜にふさわしい
私に起こった恐ろしい話をお届けします。


あの日、私は職場のある駅から
地下鉄に乗って、友人たちとの待ち合わせ場所へ行く途中でした。
お盆休みの車内はまばらで、
普段は混んでいる銀座線も、
ちらほらと座席があいており、
私はドアのすぐ横の席に座りました。


すると、次の駅で私の斜め前の席に
茶色のスカートの女性が座りました。
私は携帯をいじっていたので
「あ、混んで来たなぁ」ぐらいの気持ちで
友達へのメールを書いていました。


次の駅で、出来たメールを送信しようとしたら
携帯の電波が微妙に弱かったので
私はうつむいていた顔を上げ、
携帯を少しかざしてみました。
ちょうど、私と携帯の延長線上に
茶色のスカートの女性がいました。
なんとなく、ピントを彼女に合わせてみました。
すると、そこには……






















平 井 堅 ば り の 青 ヒ ゲ & ま ゆ 毛 ボ ー ン っ て い う か こ い つ 絶 対 女 性 じ ゃ ね ー よ コ ン チ ク シ ョ ウ 


私が「茶色のスカートの女性」だと思った人物は
実は生物学上の女性ではなかったのです。
しかも、中性的なルックスならまだしも、
本当に、顔が平井堅なのです。
青ヒゲでまゆ毛ボーンで目がおちくぼんでるんです。
でも茶色のスカートなのです。
そして、今思えばすね毛隠しなのでしょうか、
その下には夏なのにおばあちゃんが履くような
グレーのタイツ、
そしてよく見ると、ニュートラルなデザインを選んで買ったのであろう、
一見パンプスに見えるけど紳士物の紳士サイズの靴なのです。


ヘアスタイルはカツラには見えませんが
全盛期のキムタクのようなロングヘアーです。
黒のハンドバッグ、デパートの袋の柄の部分に腕を通し、
ご丁寧に傘まで柄の細い女性ものです。
こんなに芸が細かいのになぜヒゲは脱毛しないのでしょう。
まるでコントのココリコ田中みたいです。


しかし、青ざめる私を尻目に、他の乗客は「彼女」に
気づいている様子はありません。
特に、本来青ざめるべき両隣の男性も、
何食わぬ顔で窓の外を眺めています。
おそらく、横からだと疑いなく女性に見えるのでしょう。


あらゆる場所に、成仏できない趣味女がいると言います。
多くの人はその趣味女の存在に気づくことなく、毎日を送っています。
そして、「彼女」たちは、
私たちにその存在を気づかれることなく、
ひそかに、私たちの背後に迫っている……のかもしれません。
あ、ほら……今、あなたの隣にも。



「キャーーーーーーー」


おそまつさまでした。